君と、優しくて愛しい日々を。


年の差だとか遠距離だとか、そんなのに負けたくない。

でも、そう思ってるのが私だけだったら、意味ないし。

私は大学に通うナツを知らないし、ナツの周りにいつもどんな人がいるのかも知らない。

…どうやったって、怖いよ。



「………不安なのは、俺も同じだよ」


ふと彼がこぼしたその言葉に、私はパッと顔を上げた。

見ると、ナツは眉を下げて、どこか寂しそうに笑っている。

………え?


「そんなにさ、無理に追いつこうとしないでよ」


何も言えなくなった私を見て、彼は自嘲するように笑う。

そして、不意に私から目をそらした。


「…そのうち俺のほうが、置いていかれそう」


……あ。

その寂しそうな顔に、言葉を失う。

ナツはそんな私に、明るく笑った。


「俺さぁ、高二の冬に、一回彼女出来たんだよね」


……えっ。

思わぬタイミングで思わぬ事を言われ、ショックを受ける間もなく驚く。



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