イクメンな彼氏
悠斗さんだった。
久しぶりに見る顔に頬が緩んで思わず駆け寄る。

「悠斗さん!」

だけど悠斗さんの視線は鋭くて私の後ろに向けられていた。

「それじゃあね、神崎さん」

後ろからの声に藤本さんの存在を思い出して「ありがとうございました」と振り返る。

すでに踵を返していたらしく見えたのは藤本さんの後ろ姿だけで、すぐに私は悠斗さんに向き直った。

「どうして?」

どうして会いに来てくれたの?

というつもりで嬉しくて尋ねたけれど、彼は冷たい目で私を見下ろした後手首を掴んで早口で捲し立てた。

「どうして?
来て迷惑だった?

あいつに送ってもらって、お礼に部屋にでも上げるつもりだった?

俺が嫌がることは分かってただろ。
どうして比奈に俺が嫌がることばかりするんだ!!」

怒りを称えた瞳が怖くて、強く握られた手首が痛くて、私はうつ向いてしどろもどろになる。
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