イクメンな彼氏
「悠斗さんは、私を傷つけたりしない」

伝えたいことが上手く言葉に出来ない私は、それだけ言って、言葉の代わりに隣に座る悠斗さんの手を握った。

彼が咄嗟に手を引こうとするのを捕まえる。右手は私に握られたまま、左手でゆっくりと私の頬を撫でた。

「比奈は俺が怖くないの?」

バレンタインに怖がってから、悠斗さんは私に触れようとしなかった。

私を傷つけたくないから。
そう思って自分を抑えてくれた悠斗さんを怖いなんて思わない。

「悠斗さんは自分を過小評価し過ぎだよ。
お父さんみたいに私を傷つけるのが怖くて、距離を置きたいって言ったの?」

「…………」

答えない悠斗さんに私はクスリと笑った。

「お母さんの言った通りだ。
悠斗さんは意外と臆病なんだね」

ちょっと拗ねた顔をして「失礼だな」なんて言ってるけれど、怒っている響きは感じられない。
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