イクメンな彼氏
「うちに引っ越して来たら?」

私を安心させようと悠斗さんが続けた言葉に心臓がどきりと跳ねて、彼の胸から離れて顔を見上げる。

引っ越しって、一緒に住むってことだよね。同棲するってこと?

「職場まではちょっと遠くなるけど、余ってる部屋使えばいいし、いつも一緒にいれたら俺も安心だし」

悠斗さんとずっと一緒にいられたらどんなに幸せだろう。考えると頬が緩んで、ぼんやりと妄想する。

楽しそう、すごく。楽しそうだけど、何かが心に引っ掛かる。

「嬉しいけど、だめだよ。
そういうのは、ちゃんとしたい。
お父さんにも言ってから」

うちの旅館で料理を作るのはお父さん。
昔から仕事一筋で無口な人だったけれど、お父さんの作る料理は美味しくて、私は尊敬していた。

有名な吊り橋のある私の田舎は、多くはないけれども観光客が訪れ、父の料理を楽しみに何度も訪れてくれる人もいる。

また冬になると車で5分の距離にスキー場があるため、スキーヤー達が長期に渡って利用することも多い。
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