イクメンな彼氏
「中津部長はあまり仕事のことは話されないんですか?」

「あ、ええ」
とりあえず返事をしながら頭の中は若干パニックだ。

悠斗さんって、こんな大きな会社の部長なの!?そういえば仕事のことは全然話してくれないんだから。
私もあんまり聞かなかったけど。

「部長と付き合うのは大変でしょう。頭の固い人だから。ミスしたら理詰めで注意されるんです。
同じミスをしないように反省文を書かされたりするんですよ」

向かいのソファーに腰を落ち着けちゃった中林さんに少し戸惑いながらも、会社での悠斗さんが気になって耳を傾ける。
悠理花ちゃんは大人しく、おせんべいをほうばっている。

「仕事では厳しい人なんですけどね。部下のことはすごく大切にしてくれるんです。
以前部下が大きなミスをしたことがあって、取引先にクビにしろって言われたことがあるんです。

その時部長が庇ってくれて、部下のミスは自分の監督不行き届きだから、自分が責任を取るって言って辞職しようとしたことがありました。

取引先も部長には恩があったし、さすがに社長も息子をクビには出来ないってことで何とか丸く収まったんですけどね」

「そうなんですか」
相づちをうちながら想像する。悠斗さんはきっと、自分を犠牲にしてでも大切なものを守りたい人なんだ。

本当に、優しい人。

胸のなかに温かいものが広がる気持ちになる。そんな悠斗さんを、私も守ってあげられたらいいのに。
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