恋愛温度差
「だってさっきから聞いてると、どれだけ黒崎オーナーを愛しているかの話を淡々と話しているだけですよね? 俺にそれを語るより、当の本人に話したほうがスムーズに事が運びませんか?」

「スムーズに?」

「答えがでるでしょ? その思いに」

 ちょっと待ってよ。それどういう意味?

 私に振られろって言いたいの?

「詰まらないなら、つまらないってもっと早くに言ってよ。そっちが話題を振らないから、どうしていいかわからなくて話しちゃうんでしょ! 年上として、沈黙にならないように……って」 

「話すことがないならムリに話さなくていいですよ。べつに沈黙でも俺は構わないし」

「ああ、そう。じゃあ、沈黙で」

 沈黙で過ごそうじゃないの!!

 黙っててあげるわよ。何もはなすことないし。

 共通の話題もないし。

 私はむすっとすると、鍋ののこりをつついた。

 
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