絶望の部屋(再)
「これで終わりじゃありませんよ。」
 
 
「!!」
 
 
ゼツボウ!
希が死んだのになんで…
 
 
「絶望の隣にはいつも希望があります…
 
でも希望の横にもいつも絶望が待ってるってことを忘れないでください。」
 
 
 
どこからとなく聞こえてくる声はそう言った。
 
 
 
「何度だって、何度だって絶望を希望に変えてやるよ何度だってな。」
 
 
 
「そうですか…ではまたいつの日かお会いしましょう。」
 
 
 
そう言うと希の中から何か抜けていくのが見え光の渦のようなものが現れた。
 
 
 
 
『あなたは何を望みますか?』
 
 
光の渦の前に立つとそう聞こえた。
 
 
そんなのここで死んだみんなを生き返らせる…ってのは無理なんだよな。。
それはなんだか言われなくても伝わってきた。
 
 
みんなはもう帰ってこない。そんなことがこの世で許されるわけがない。
 
 
僕は栞のことを見てしばらく見つめあってそれから2人で頷いた。
 
 
 
「僕の」
「私の」
「「希望はいつまでも2人でいれることです。」」
 
 
 
『お疲れ様です。では…』
 
 
 
ピカッ
 
 
 
光に包まれあたりが見えなくなった。
そしていつの間にか家についていた。
 
 
 
「あれ…夢…?」
 
 
 
夢だったのかな…。
時間は…朝の7時か。
 
はぁぁっ。眠たっ。
さぁ学校行くか。
 
 
 
僕は顔を洗い、朝食を済ませ、歯を磨き、服を着替えそして用意を済ましカバンを持って学校に向かった。
 
 
 
いつも通りの道。
でも何かが足りない。
 
 
あの草むらから出てくるストーカーのような幼馴染も後ろから騒がしく走ってくるお節介な親友ももういない。
 
 
これが僕の望んだ日常だったのかな…
 
 
僕は学校に行くのをめんどくさがりお節介に文句をつけていた。
 
 
それがなんで…なんで…。今になって恋しくなるんだよ。
 
 
 
「勇哉。そんなところで泣いてちゃみんなに見られるよ。
 
 
はい、これ使って。」
 
 
僕と同じ高校の制服を着た女の子がハンカチを手渡してくれた。
 
 
「ありがとう…!
 
 
って、えっ…。栞…?」
 
 
「なんだかわからないけど学校に行こうと思ったら制服がこれに変わってたの。
 
だから…これからもよろしくね!」
 
 
そうか…
これが僕の日常に変わったんだ。
 
 
 
絶望の横にはいつも希望がある。でもその横にもまた絶望は待っている。
だけど今の栞の笑顔を見ていたら僕はどんな絶望も乗り越えられる気がする。
 
 
だから…みんな今までありがとう。
僕、幸せになります。みんなの分まで
 
だから…
行ってきます。 
 
 
「こちらこそよろしく栞。」
 
 
 
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