あのね、先生。
「そういえばさ、うちの大学って学祭ちょっと早かったよね?」
「何、急に。」
「去年は入学してそんなに時間経ってないのに学祭があって、忙しくて一緒に回れなかったなーって思って」
それをふと思い出したのは、もう1年か、なんて思い出に浸っていたから。
優真と付き合って1年が経つのにそんな気がしないのは、こういうところにも原因があるんじゃないかな。
「あー、そうだったな。何かよく分かんねぇ内に進んでいったもんな」
大学で行事があっても、ゆっくり2人で、なんてことはあまりないからだろう。
「今年は一緒に回れたらいいね」
「そうだな」
こんな日が来るなんて思わなかった。
正直、卒業式のあの日優真を選んだけど、きちんと好きになれる自信がなかった。
大丈夫だ、なんて思っておきながらどこかでほんとに大丈夫なのかな、ってずっと思ってたから。