あのね、先生。

行きたくなかったわけじゃないけど、あの気持ちのまま優真の家に行って、そんな雰囲気になるのは嫌だったから。

きちんと優真を見れるようになってから、って、自分の中で勝手に決めてた。

「泊まってく?」

だから、優真がこんな質問をするようになったのもごく最近のことだった。

家に行くようになったとはいえ、泊まるってなるとちょっと違う気がしたから。


「うん、そうしようかな」

こんな会話をしてると、あぁ付き合ってるんだな、なんて変なことを考えたりすることがある。

そんなの1年も前からだったのに、実感し始めたのは最近だった。

「何食べたい?」

「ハンバーグ」

「分かった。じゃあスーパーに寄ってから行こっか」

優真はずっと変わってないのかもしれないけど、あたしはきっと少しずつちゃんと変われてる。

気持ち的な面で、優真に追いつけてきたかな、なんて思うんだ。
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