誤解から始まる恋もある?
私はノンアルコールのシークワーサーの蜂蜜ドリンク、金城副支配人は地ビールに決める。

料理は軽めにしたいところだけれど、おつまみに揚げ物は外せない。

彼は芝エビのから揚げを頼んでいる。それも食べたいけど、もずくの天ぷらも食べたいな。

なんだかんだ考えながらも、気づけばけっこうな量の料理がテーブルに並んでしまった。

店内は薄暗く、テーブルに置かれたロウソクの灯りが揺らめいている。カップルだったら気分が盛り上がる雰囲気だろう。しかし相手は近所のお兄さんでもあるけど、今は上司。会話は当たり障りのないものになる。

しばらく経って、金城副支配人は三杯目のビールをおかわりした。

ロウソクの灯りのせいか顔が赤らんでいるように見える。そして、しだいに馴れ馴れしい口調に。

「夕樹菜ちゃんは飲まないの?」
「私があまり飲めないって、知っていますよね?」
「そうだっけ? こういう場だと少し飲めるくらいのほうがいいよ。社会人になって上司からの酒を飲めないっていうのはちょっとね。あ! 今日はいいんだよ。ほら、食べて食べて」

少しは飲めたほうがいいのはわかっているけれど、お酒は一杯飲むだけで身体がカアッと熱くなり、すぐに眠くなってしまうのだ。

もう二十二歳だし、やっぱり社会人になって飲めないのはよくないかな、と自宅で何度もビールや焼酎などを試しに飲んでみたけど、何度やっても同じ状態になる。
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