私に恋をしてください!
だからこうして4月から、龍成社に入社をし、6月からは営業局に配属されている。

私のいる販売五部は、主には文芸・エッセイ本の販売を担当する。
せめて、コミック関係を担当する販売三部か四部なら良かったのになぁ・・・と思うけど、趣味と実益を兼ねるのは難しいと聞いたことがあるし、これで良かったのかも知れない。

販売五部の羽賀部長と販売会社を回り、自社の本を売り込む。

ところが、販売会社の担当者に、

『文芸担当の部署に新入社員を普通あてがいます?しかも頼りなさそうな小娘を寄こすなんて、うちの部署もなめられたもんですね。さすが、天下の龍成社さんだけのことはありますよ』

確かに、私は童顔で身長は148センチ。
黒髪のストレート。

一歩間違えると中学生に見えると、最近会った高校の同級生に言われたことがある。

でも、そんなの関係ない。
新入社員だろうが同じ土俵の上に立てば、平等に部数交渉には応じるべきであり、嫌味な言葉を並べるのはモラルに反すると私は思った。

『こちらのお願いを何で聞いてもらえないんですか!そんな言い方ないじゃないですか!』

私はキレてしまった。
そして私には1つ欠点がある。

それは・・・声。
かなり甘ったるいと言われる。
それがいいように作用する時もあるのだろうけど、ここでは・・・ただ緊張感のない人間にしか思われない。
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