私に恋をしてください!
そうか。
あっさりソラに私のことを聞くことを諦められると言うことは、私にそれだけ興味がないということになってしまう。

ソラは、私に1ミリでも興味を持ってもらえているのだろうか。
これも、恋の駆け引き?

「専務なの、うちのお父さん」
『専務?』
「龍成社の」
『そうなの?それは、葉月はお嬢様で、門限もある箱入り娘なわけだ』

ソラは、物分かりがいいのか私の告白にも驚く様子はなかった。

『俺もひとつだけ話すと、父親は県知事をやっているよ』
「県知事?」
『群馬県のね』
「ソラも、お坊ちゃま?」
『葉月ほどじゃないよ。元々は県の職員だし』

この時、私達は何故か目が合った。
すると、ソラは何かを思い出したように私の隣に座った。

『観覧車で恋人同士がすることの定番って、何だと思う?』
「何?」

観覧車は折り返しを過ぎ、少しずつ地面が近付いてくる。

『こういうことをするんだよ』

と、私の唇に、自分のそれを重ねたソラ。
こ、これって、キス?

驚いて言葉にならない私の様子を見たソラは、

『ファーストキスだったら、ごめんね、こんな俺で』

サラっと私にそう言ったソラの表情がとてもイタズラっぽい少年のようで・・・
私の心臓は、その音がソラに伝わってしまうのではないかというくらい、激しく動いていた。
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