私に恋をしてください!
俺は一浪して大手門大学に入り、陸は現役で入っているので、入学や卒業は俺と同じでも、年齢が1つ違う。

陸は春から大手の広告代理店で働いている新入社員だ。

『そう言えばさ、前から聞こうと思っていたんだけど、お前が好きだった人って出版業界の関係者なんだろ?』
「うん。でも彼女には非の打ち所のない彼氏…いや旦那がいるから」

彼女との過去の出来事は話しても、神戸についての詳しい職業や名前は陸に話していない。

神戸は7月に、剛さんと結婚をした。
あれから神戸には会っていないけど、剛さんからメールで報告があったんだ。

『ならお前も、前に進まないとな』
「付き合いたい女性が出来ただけでも前進だろ?」
『お前の場合はそこからが問題なんだろ?このままだと一生結婚できないか、出来たとしても本当に好きな女性とは結ばれないことになるぞ』

陸の言う通りだ。
俺はどうでもいい女は抱けるけど、気持ちのある女性を前にすると、男性の機能を失う。

神戸との一件以来、セックスと言う行為がとても汚らわしく思えてしまい、好きな女性に対してそんな汚いことをするかと思うと怖じ気づいてしまうんだ。
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