私に恋をしてください!
*告白の時

★~side SORA~

春木屋書房の新規店開店から3日後の火曜日の夜、俺は久々に大学時代の友人である金澤陸(カナザワ リク)と飲みに行くことになった。

『よっ、久しぶり。いい女の子見つかったかぁ?』

大学生の頃から陸に口癖のように言われる、いわば挨拶代わりのセリフ。

彼だけには、俺の"本当の事情"を話しているから、ある意味心配してくれているんだと思う。

陸からいつも言われるこの挨拶に対していつもは"そう簡単には見つからねぇよ"と答えるのが定番だった。

けど、陸には葉月の存在を隠したくなかったから、

「見つかったよ、いい女の子」
『ウソ!会わせて見せて紹介して!』
「別に、見せ物じゃねぇよ。まだ本当に"彼女"になったわけじゃねぇし」

中ジョッキを飲みながら、軟派な陸に呆れる俺。

『どこの人だよ。会社の同期とか先輩とか?』
「いや、龍成社の社員」

専務の娘と言いかけたけど、いらない情報だと思って止めた。

すると、陸がジョッキを両手に持ったまま一度ため息をついた。

『まぁ、販売会社で出版元の社員と知り合うのは自然なことだと思うけど、その人は年上なの?』
「いや、今年の新入社員だから、お前と同じ歳だよ」
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