私に恋をしてください!
「何だよ。お前は仕事で龍成社と関わるのは広告局くらいだろ?前回飲んだ時に"可愛いコがいた"なんてはしゃいでいたじゃねぇか」
『いや、そうじゃなくてさ…営業局か…セミプロがOKするかどうかだよ。でも、何とか説得する』

少し陸のトーンが下がったけど、俺としてはかなり訳が分からないので任せるしかなかった。

翌日の夜になって"セミプロ"のOKが出たらしく、"急でごめん"と、今週の金曜日に会う機会を設定したとの連絡が陸からあった。

本当に、俺は前進できるのだろうか。
人の力を借りて、もし治らなかったらショックだな。

そう思ったら不安で一杯になった。
けどそれでも思い出すのは葉月の顔と声なんだ。

だから今日も葉月と電話で話す。
仕事のこと、マンガのこと、小さい頃に見ていたテレビのこと。

観ていたテレビも一緒。
面白いと思ったコーナーやキャラクターや好きなお笑いタレントも一緒。

だから葉月の存在が俺を癒し、そして不安にさせる。

そんな諸刃の剣じゃなくて、俺は葉月にとって一番大切な存在になりたい。

俺の心は、決まった。
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