あの日に出会ったキミと。
「一ノ瀬…」


ドクンドクンと胸が鳴った。


「お嬢様…?」


「…して…どうしてあんなキスしたんですか…?」


これを聞きたかった。私のファーストキスは、一ノ瀬の唇によって奪われてしまった。


「……お嬢様」


「一ノ瀬のっ!一ノ瀬のキスが忘れられないの。」


私は一ノ瀬のキスが忘れられない。


あのキスが、頭の中をよぎってしまう。


「…では、もう一度、キスさせていただきますよ?」


「えっ…!」


「もう、あんな汚らしい男とは関わらないように、しっかりと身体に残る傷をつけさせていただきます」


そう言うとにやりと妖しく笑った。


そして顎を再度持ち上げると、抵抗する間もなく唇を奪ったーー。
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