あの日に出会ったキミと。
「…蛍様、とりあえずお入りになってください。今、紅茶を入れますね。こちらのソファーにおかけになってください。」


そう言うと、ポットからカップへ、お茶を移していた。


「……」


どうしよう。こんなところまで来てしまったけれど、私は何を聞きたいんだろうか。


「蛍様、どうぞ」


彼はテーブルにカップをおいた。


「ーーっ!」


思わず唇を噛み締め、ひとまず紅茶を飲んで落ち着いた。


「蛍様…」


そんな私を何かを愛でているように色っぽく見つめる一ノ瀬。


「一ノ瀬…そ、そんなふうに見ないでくださいっ…」


「あぁ、すみません。お嬢様があまりに無垢で、可愛らしかったもので。」


そう言うと彼は私の隣へ腰をかけた。


「いちのっ」


私の顎をくいっと上げると、彼はまた、色っぽく尋ねてきた。


「どんなご用でいらしたんですか?」


濡れた髪がいやらしく光っていた。
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