狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

Ⅹ―ⅲ 精霊



「我が王からの大事な書簡です。必ず精霊王へお渡しください」


『…御意』


旋風が手紙を巻き上げようとしたその時、また別の声が響き…現れたのは小さな光の塊で、落ち着いた大人の女性のような声を持っていた。


「教官…あれは?」


アレスが小声でブラストに問うと彼はニッと笑った。


「光の精霊だ!彼女は礼儀正しく精霊の王の使者として悠久に来たこともあるくらいだ!っといっても数十年に一度だがな!!」


カイは目を丸くして小さな旋風と光の塊を見つめている。


「へぇ…こいつら体はどうなってんだ?」


『…』


光の精霊はカイの不躾な眼差しに無言を貫いた。


「カイ、彼女らは精霊だ。体を持たずに意志をもつ大自然の中にあるエネルギーの塊さ。霊体ともいう。光の精霊殿、頼みますぞ」


『…御意』


光の精霊の二言目も同じだったが、その雰囲気から真面目な印象がよく伝わってくる。



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