狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅢ―ⅳ エデン王の用事
「俺はこれから行くところがある。お前ら用事があって来たんだろう?」
「そうです、エデン様へキュリオ様から書簡を預かっております」
エデン王の声に慌ててブラストがキュリオからの書簡を取り出した。
「キュリオ殿の書簡ってのは俺じゃないとわからない内容か?」
差し出された手紙を受け取り、己の名が記されているの確認した雷の王は再度ブラストへと顔を向けた。
「是非エデン様に読んでいただきたいのですが、お急ぎの用があられるのでしたら…大臣殿よりご返答いただいてもよろしいかと思います」
「すまないな…そうしてもらえると有難い」
エデンが頷き後方を振り返ると背後から武装した男が現れ、彼のそばで片膝をついた。そして差し出された悠久の王の書簡を大事そうに受け取るとそのまま門の中へと消えて行くのだった。
「…雷の国は皆鎧着てんだな」
不思議そうに呟いたカイは普段の悠久の家臣たちの姿を思い浮かべてみる。大概みな軽装で、重々しい武装をしている者はほとんど見かけない。それに比べて死の国と雷の国はどこか違う。なぜその衣装が定着したのかとなると遥か遠い歴史へとつながるのかもしれない。
(<革命の王>って言ってたよな。争いごとでもあったのか?)
またもカイは目の前にいるエデン王の逞しい体に目を向けた。奇跡的な肉体美がとても羨ましく、有無を言わせぬその気迫に武人としての憧れがそこにはあった。