狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅣ―ⅵ 使者の帰還Ⅰ


――――その頃、悠久の門を通過し馬を駆けさせる五人の姿があった。
一番前を行くのは教官のブラスト。彼は日の沈み具合から予定の時間を過ぎている事に気が付いた。


「…教官、もう少し急ぎますか?」


一頭の馬が平行してきて、その手綱を握るテトラが声をかけてきた。


「いや、これ以上速度をあげると馬に乗り慣れてない後ろの二人が心配だ。今回は色々あったからな・・・それにこれくらい遅れたからってキュリオ様は怒ったりなさらないぞ!」


「わかりました。たしかに悠久内で怪我したなんて…使者として恥ずかしいですしね」


納得したように後ろを振り返り、必死について行こうとするカイとアレスを穏やかに見つめるテトラ。


「だろっ!それに報告もあるからな!俺こそ時間が欲しいってもんだ!」


ニカっと笑うブラストには、帰還後の使者としての報告が待っている。彼はその行為事態初めての事ではないが、今回ばかりは他国の門番たちにからかわれたり王に対峙(たいじ)したりと稀なことが起きたため、彼自身少々困惑した場面があった。それをこれから言葉で説明しなくてはならず、冷静に頭の中を整理する時間が欲しかったのだ。


「そうでしたね。冥王からの返答もありますし…と、そういえば…」


にわかに表情に疑問の色を浮かべたテトラは考えるように眉間に皺をよせ、さらに呟いた。


「<心眼の王>は目も通さず書簡の内容も見ることが出来るのですか?」


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