狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅥ―ⅸ 甘い時間
湯殿からあがったキュリオは適当にバスローブを羽織り、アオイを柔らかい布で包む。頬を染めた彼女の顔にかかるのは…髪から伝い流れた湯。キュリオはさらに布を手にして顔と髪の水分を優しくふき取った。
「湯上りのお前は…食べてしまいたいくらい可愛い」
愛しさが込み上げ、たまらずキュリオは彼女の頬に唇を押し当てる。しっとりと潤うアオイの素肌はいつにも増してあたたかく…彼女の存在をより一層強く感じることができた。
「きゃぁっ」
キュリオの唇の感触がくすぐったいのか、それとも彼女自身、愛されている実感があるのか嬉しそうなアオイの声が響く。そんな彼女の笑顔を見つめていると自然に顔がほころんでしまう。
「いつまでもこうしていたいよ。でも風邪をひいてしまったら大変だ」
キュリオは自分の濡れた髪もそのままに、急いで彼女の体をふき始める。まだ両足で立つことも叶わぬアオイの体はしっかりキュリオの腕に抱きかかえられ、一糸まとわぬ姿を彼の前にさらす。
「この可愛いアオイの体を見られるのもあと数年か…君はすぐ大きくなってレディらしい体つきになってしまうんだろうね」
「……?」
キュリオの深い空色の瞳に見つめられ、意図を理解できないアオイは疑問の色を浮べながら彼の広い胸元に顔をよせた。
「ふふっ、いつまでそうやって甘えてくれるのかな…」