狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅠ―ⅷ 幸福と悲しき日々の始まりⅡ


光の精霊の呟きに反論した水の精霊。だが、そんな事は万が一にもありはしないだろう。



『…この世界の王は後にも先にも男…』



『…ですね』



光の精霊の正論に、仮説を立てた水の精霊の言葉があっけなく落ち込んでしまう。そして人間と触れ合うことの出来ぬ精霊に、人と交友を築け…というのも酷な話なのだ。


だが、…もしかしたら、こうして頼ってくる者がいるだけで我が王には十分過ぎる進歩なのかもしれない…と光の精霊はそう思わずにいられない。


そういうのも悠久の王・キュリオと交流を持つ以前、エクシスは今以上に孤独だった。昔から他国の王とかなり距離を置いている部分があり、結局…最後まで顔を合せず退位してしまった国の王もいるほどなのである。



すると…門をまたぐ際、振り返り…遠くで手をあげたキュリオ。その姿を確認した光と水の精霊は深く一礼する。それを合図かのようにゆっくり門が閉まり、悠久の王の姿は見えなくなった。



『…戻るぞ…』



『…はい』



光の精霊の言葉に頷いた水の精霊は彼女の後を追って深い森の中へと消えて行く。










―――空には日の光が満ちはじめ、新しい朝と風を運んでくる。そして…小さな赤子が夢に殺される事なく、命を繋いだこの日…










ある者にとってはとても幸福な日々の始まりで…











…またある者にとっては…















辛く悲しい日々の始まりとなってしまったのだった―――







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