狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅣ―ⅸ 初めての「あーん」Ⅱ



見たことのない白い物体にアオイの瞳は釘付けだ。しかし、それが食べ物だと理解していないようで…いつまでも手を出そうとはしない。



キュリオはそれを指先でひとつ取り出すと、アオイに教えながら自分の口に運んでみる。



(少し硬いと思ったが…さすがはジル。口の中で泡が消えていくような不思議な食感だ)



ほんのり甘味も効いていて、歯の生えていないアオイでも難なく食べれるであろう美味い菓子に違いなかった。



「アオイ、ほら…食べてごらん?」



グラスを下げられ、アオイの可愛らしい手を誘導してみる。



「……」



アオイはキュリオの顔と白い物体を見比べながら…戸惑うようにグラスへと手を入れてみた。



「そうそう、そのまま口に…」



と、まで言ってキュリオは動きを止めた。



「…ぅーっ!」



まるで"理解したっ!"と、声を上げ…目を輝かせるアオイ。
そしてやっと菓子を掴んだ小さな手は…キュリオの口元へと運ばれて行くのであった―――




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