狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅦ―ⅳ 女神Ⅳ



赤く染まった頬に手をあて、ウィスタリアは我に返りはっと顔をあげた。すると目の間に立つ麗しい王は無表情のままこちらに目をむけており、少なからず彼の気分を害していることは明らかだった。



(…な、何か言わなくては…)



「…えっと…」



口下手なウィスタリアは戸惑い、キュリオに会えた喜びから一転…困惑の表情へと変化していく。



「……」



そして…いつまでも黙っている彼女の顔を覗きこんだマゼンタはしびれを切らしたように声をあげた。



「何よ私ばかり悪者にしてっ!!
キュリオ様に会いたいがために保護者のふりしてついてきたウィスタリアが一番ずるいわっ!!」



腕組みをし、苛々を隠せずにいる彼女は自分ばかりが悪いのではないと言いたげな様子だ。



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