狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅦ―ⅶ 女神Ⅶ



普段穏やかで、何にも熱をあげなかった長女のウィスタリア。しかし、その彼女が唯一恋焦がれ…想い続けた男がいる。それが悠久の王・キュリオだった。




―――彼は特別な人間をつくらない。




ただそれだけが支えで、彼に恋するすべての女性が永遠の片想いである事がせめてもの救いだった。まだこの違和感の正体はわからぬものの、それが崩れ始めているのではないかという不安が大きくなりはじめる。




(キュリオ様…いくら無礼な真似をしたからと言って、あのような視線を投げつけるお方じゃなかった…それに…さっきの微笑みは一体…)




「あの…キュリオ様…」




震える声でウィスタリアが王の名を呼ぶと…顔だけをこちらに向けたキュリオは静かに言葉を紡ぐ。





「…で、私に何をしろと?」






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