狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅦ―ⅸ 女神Ⅸ



マゼンタにしては珍しく謝罪の言葉を口にしている。気持ちの優しいウィスタリアに迷惑かけたことを彼女なりに反省しているのかもしれない。しかも…想い続けたキュリオから冷たい言葉を浴びせられてしまったのだ。しばらくは罰が悪く顔を合せる事もままならないだろう。



「…ううん。謝らないで…私の方こそごめんねマゼンタ…」



「…本当に申し訳ございませんでした…」



「ごめんなさい…キュリオ様」



深く頭を下げる二人の姉妹に、キュリオの後方で待機する女官や侍女たちはほっと安堵のため息をついた。彼女たちがそういう態度をとるのも…女神一族は地位や名誉など、鼻にかけた輩(やから)が多く手を焼いているのが現状なのだ。



しかし、ウィスタリアを長女とするこの直系の五人姉妹はそれほどではなく…余所との違いを見せるかと思っていたのだが…こうして押しかけるところを見ると、他の女神たちと一緒くたにされても仕方がない。



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