狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXⅣ―ⅰ カイとアレスの武器Ⅰ
「……」
キュリオの声にピクリと耳を動かしたダルドはゆっくり振り返ると…その幻想的な銀色の瞳で、彼がもっとも尊敬する悠久の王へと向き直った。
「…キュリオ王、此度はお呼び頂き誠にありがとうございます。このダルド、身に余る光栄でございます」
片手を胸に当て、優雅に頭を下げたダルド。彼はとても誇り高く、他人へ頭を下げることを嫌うが…キュリオだけは別格なのだ。
「礼を言うのはこちらのほうさ…ありがとう。私は君を誇りに思っているよ」
顔をあげたダルドはキュリオと固く握手を交わすと、歩き出したキュリオの後ろをゆっくり追いかけはじめた。
「依頼の内容は使いの者から聞いているかい?」
歩調を緩めたキュリオはダルドの隣に並ぶと空色の瞳を前方へと向け、ダルドの視線を…とある場所へと促した。