狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

XXXⅥ―ⅹ キュリオとダルドの出会いⅩ



「君、彼を客室へ案内してくれるかい?」



女官の後方に待機している一人の侍女へキュリオは声をかけ、なるべくダルドを刺激せぬようこの場から遠ざけることに決めた。



「はいっ!」



タタッと進み出た彼女は満面の笑みでダルドに一礼したが、ダルドはまるで…すがりつくように寂しげな瞳で訴えてくる。



「い、いやだ…っ、…キュリオと離れたくない…っ…」



「…ダルド、君が怯える理由はわかっている。
しかし、これから色々理解してもらたい事があるんだ」



「…り、理解…?」



「あぁ。だから私を信じてくれたように、ここにいる者たちを信じてもらえないだろうか?」




(キュリオを信じたように…皆を…)




< 409 / 871 >

この作品をシェア

pagetop