狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

XXXⅧ―ⅵ アレスの役目Ⅲ



「彼女の名はアオイ。私の願いを込め、庭に咲く大輪の花からとった名前だ」



「…アオイ様、と言われるのですね」



「あぁ。そしてアオイが城に来て早数日が経過したが…彼女は何か数奇な星の下に生まれたのではないかと私は確信している」



「儂の意見もキュリオ様と同じですじゃ」



それまで静かに頷いたガーラントが初めて言葉を発する。そして神妙な面持ちで王へと話の続きを促した。



「アオイがまだ言葉を話せぬ今、彼女の身に一体何が起きていたのかは正直わからない」



「そして私の力が及ばぬが故に…彼女は一度生死の境を彷徨ってしまった…」



「…キュリオ王の力が及ばない…?」



ダルドはにわかに信じられず、腰を浮かせ身を乗り出した。



「私もガーラントも手の施しようがなくてね…それで精霊王の元を訪れたというわけなんだ」



「千年王の精霊王…」



アレスは伝説と言われる千年王の話を耳にし、緊張のあまり生唾をゴクリと飲んだ。



(千年王の存在そのものがもはや伝説級の話…<夢幻の王>と言われる彼の力を借りるほどの事がアオイ様の身に…?)



「私がいつも彼女の傍に居られる補償はない。そして…」



「…ヴァンパイアの王・ティーダが最近になってよくこの城付近で目撃されている。昼間に城の中へ入り込んでいた事もあったほどにだ」



「えっ!?ヴァンパイアの王が…っ昼間に?なぜっっ!?」



日の光に弱い彼らは夜の間しか現れないと思っていたアレス。そしてその知識が間違ってるとは到底思えない。



「驚いてはならんぞアレス。王とはそういうものじゃ。在位二百年を超えた若い王だとしても、ただのヴァンパイアとは格が違うのじゃ」





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