狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

✿ショートストーリー☆キュリオの願望?そのLXⅠ


「…っごめんなさい…わたし…」


ビクリと肩を震わせたアオイの声にハッと我に返ったキュリオ。


「私は少し頭を冷やしてくる…お前もしばらく部屋に戻ってくるな」


背の高い椅子から飛び降り、足早に扉へと向かった彼は…アオイと目を合わせる事無く部屋を出て行ってしまった。


バタンと音を立てて閉められた重い扉の音が…まるで堅く閉ざされてしまったキュリオの心を示しているかのように感じ、深い悲しみが込み上げてくる。


「…気遣いが出来ない子でごめんなさい…お父様…」


まさかキュリオが怒りだすとは思っておらず、何が彼をそうさせてしまったのか…自責の念に苛(さいな)まれるアオイ。



(…私はなぜこんなにも苛立っている?彼女はセシエル様の"いい人"だ…)


(負の感情をぶつけるなど、あっていいわけがないというのに…っ…!!)


ぎゅっと瞳を閉じて扉を出たキュリオの前に立ちはだかったのは…


「キュリオ…君はまだ自分の心と素直に向き合う事が出来ていないようだね」


「セ、セシエル様…」


まさか彼がここにいるとは思っておらず飛び出したキュリオだが、おそらく今までの話はすべて聞かれていただろう。

頭の良いキュリオは咄嗟にそう判断し、気まずそうに彼から視線を逸らした。


「…今のお前では彼女の心を理解するなど到底無理な話だ。アオイさんを教育係から外す」


組んでいた腕をおろし、長い銀髪を靡かせ扉へと入っていくセシエル。


「…っ…」


美しい王を引き留めようと、思わず腕を伸ばしたキュリオだったが…


(このまま彼女と顔を合わせてどうする…どうせあいつは…セシエル様の事が…)


今度は逆に閉まりゆく扉を為す術もなく見つめるかたちとなってしまったキュリオ。


「同じ事をされたらどう感じるか…その身を以て知るといい」


ボソリと呟いたセシエルは子供であるキュリオに容赦がない。それというのも…彼を鍛えなくてはならない深い理由がそこにあるからだった―――。



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