狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

その62

一方、二人きりになったセシエルとアオイは―――…。


ベッドに腰掛け、冷たくなったアオイの体を横抱きにしているセシエル。

右手で彼女の手を握り、左腕はアオイの体を強く抱きしめていた。


「…すまないアオイさん。大切な君を巻き込んでしまった…」


「…いい、え…」


自責の念にかられるセシエルに優しく微笑むアオイ。

いつも覚えていない夢の話をこの時ばかりは鮮明に思い出すことが出来ていたのだ。


「…私、こそ…ごめんなさ…、お傍にいると…約束した、のに……」


じんわりと涙を浮かべるアオイにセシエルは切ない笑みを向けた。



「…その気持ちだけで私は十分幸せだ。それと…」



「力づくで貴方をこの時代に閉じ込めようとした私を許して欲しい」



申し訳なさそうに瞳を伏せたセシエル。

柔らかな唇がアオイの額に落とされ、悲しみを含んだ口付けにアオイの胸は切なく震える。




「…セ…シエ、ルさ…ま……」




―――そんなふうに思っていただけた私こそ…幸せです―――…





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