狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
別れの後に…Ⅰ
キュリオの力によって大部分が鎮火し、人々が避難したあとの街に人影は見当たらなかった。
そして炎は見当たらないものの木材が焼けた匂いが喉や鼻を刺激する。
「アオイ様!」
馬を駆りながら懸命に叫んでいるのは剣士のカイだった。
キュリオが西の館で夜を過ごす事を把握していた彼は西の館に姿がないのを確認し、煙の上がる街へと向かったのだ。
(あのキュリオ様がおひとりで西の館に向かうはずがない…絶対アオイ様をお連れだったはずだ!)
縦横無尽に馬を走らせていると前方に見える橋の真ん中に人が倒れているのが見えた。
「…アオイ様!?」
遠目で見てもわかる。
その人物のシルエットは明らかに女性のもので…それはまさしく今朝までその腕に抱いていた幼い姫のものだと。
(どうか…無事でいてくれっ!!)
手綱を握るその手に力が入る。
橋の真ん中で倒れているなど逃げ遅れて煙にまかれたのだろうか?
「アオイ姫様ッ!!」
馬を止める事無くアオイの傍で飛び降りたカイはそっとアオイの頭を支え頬を撫でる。
力なく横たわる彼女の口元に耳をあて、呼吸を確認するとほっと胸を撫で下ろした。
そして炎は見当たらないものの木材が焼けた匂いが喉や鼻を刺激する。
「アオイ様!」
馬を駆りながら懸命に叫んでいるのは剣士のカイだった。
キュリオが西の館で夜を過ごす事を把握していた彼は西の館に姿がないのを確認し、煙の上がる街へと向かったのだ。
(あのキュリオ様がおひとりで西の館に向かうはずがない…絶対アオイ様をお連れだったはずだ!)
縦横無尽に馬を走らせていると前方に見える橋の真ん中に人が倒れているのが見えた。
「…アオイ様!?」
遠目で見てもわかる。
その人物のシルエットは明らかに女性のもので…それはまさしく今朝までその腕に抱いていた幼い姫のものだと。
(どうか…無事でいてくれっ!!)
手綱を握るその手に力が入る。
橋の真ん中で倒れているなど逃げ遅れて煙にまかれたのだろうか?
「アオイ姫様ッ!!」
馬を止める事無くアオイの傍で飛び降りたカイはそっとアオイの頭を支え頬を撫でる。
力なく横たわる彼女の口元に耳をあて、呼吸を確認するとほっと胸を撫で下ろした。