狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
悪夢Ⅱ
「カイ…」
心配そうにこちらを覗き込んでいるカイの瞳は蝋燭の灯りに照らされて彼の心のように煌めいていたが、どことなく揺れているような気さえする。
「…っ…」
「…?」
アオイの目元を見て苦しそうに顔を歪めたカイと、潤んだ彼の瞳に違和感を覚えたアオイが互いに手を伸ばす。
しかし、互いの目的の場へ届く前に二人の手がぶつかってしまった。
「ふふっ」
思いやる心が同じとはなんて素晴らしい事か…二人共に歩んだ時間の長さはアオイのその人生に等しく、彼なしの生活などもはや考えることはできなかった。
「まだ体調悪いのでしょう?無理してここまで来てくれなくても…」
潤んでいるカイの瞳は熱のせいだと勘違いしたアオイがクスリと笑っている。
「…そうですね。風邪をうつしてしまってはいけませんので、そろそろお暇(いとま)させて頂きます…」
「うん、でももう遅い時間だし…お城に帰るのは明日の朝でいいよね?」
「……」
疑うことなく笑顔を向けてくる姫君にカイの心は切なく締め付けられる。
そして細められた彼女の瞳から涙の欠片が零れると…
「また泣いておられたんですね姫様…」
「…え?私…泣いてなんか……あれ?」
慌てて頬をぬぐう手をカイは制止しカイの親指が優しく目元をなぞる。
すると…
「カイ…お前が切り出せないのなら私が言おう」
なぜかキュリオの声には棘があり、苛立っているのは明らかだった。
心配そうにこちらを覗き込んでいるカイの瞳は蝋燭の灯りに照らされて彼の心のように煌めいていたが、どことなく揺れているような気さえする。
「…っ…」
「…?」
アオイの目元を見て苦しそうに顔を歪めたカイと、潤んだ彼の瞳に違和感を覚えたアオイが互いに手を伸ばす。
しかし、互いの目的の場へ届く前に二人の手がぶつかってしまった。
「ふふっ」
思いやる心が同じとはなんて素晴らしい事か…二人共に歩んだ時間の長さはアオイのその人生に等しく、彼なしの生活などもはや考えることはできなかった。
「まだ体調悪いのでしょう?無理してここまで来てくれなくても…」
潤んでいるカイの瞳は熱のせいだと勘違いしたアオイがクスリと笑っている。
「…そうですね。風邪をうつしてしまってはいけませんので、そろそろお暇(いとま)させて頂きます…」
「うん、でももう遅い時間だし…お城に帰るのは明日の朝でいいよね?」
「……」
疑うことなく笑顔を向けてくる姫君にカイの心は切なく締め付けられる。
そして細められた彼女の瞳から涙の欠片が零れると…
「また泣いておられたんですね姫様…」
「…え?私…泣いてなんか……あれ?」
慌てて頬をぬぐう手をカイは制止しカイの親指が優しく目元をなぞる。
すると…
「カイ…お前が切り出せないのなら私が言おう」
なぜかキュリオの声には棘があり、苛立っているのは明らかだった。