狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

Ⅷ―ⅸ 守る者と守られる者



「お主にはまだちと早いかのぉ?
言ってしまえばキュリオ様はこの国の誰よりも強い。守ってもらわずともよい程にお強いのじゃ」


「あん?じゃあなんで俺たちがいるんだよ…」


不服そうにカイがガーラントを睨んだ。そこで自分の存在意義というものがなくなると思ったからだ。


「この世界は愛で出来ておる。力を持つ者、持たない者…
"守る者"と"守られる者"がおるじゃろ。
じゃあ"守る者"の身は誰が守るんじゃ?」


「…強いなら守らなくてもいいんじゃねぇの?」


怪訝な顔をしたカイはガーラントの問いに答えを見いだせずにいる。


「キュリオ様は”守る者”の頂点におられるお方じゃ。そのお方から見れば儂らも"守るべき者"に含まれてしまう。つまりは"王ひとり"と"民全員"になってしまうんじゃよ」


それまで黙っていたアレスが思いついたように顔をあげガーラントとカイの傍に近づいた。

「先生は"この世界は愛で出来ている"とおっしゃいました。つまりは無償の愛をお与えになるキュリオ様を私たちがお守りすることで、"守られていない者"をなくすということですね?」



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