ルビー〜ending storry〜
「リア様」
と、男は直様リアへ駆け寄る。
縛られている縄を解き、華奢な身体を抱き上げる。
するとリアはクンクンと男の匂いを嗅ぎ、眉を寄せる。
「如何なさいましたか?」
「血の匂いで臭いわ。やっぱり、降ろして」
血飛沫が身体にかかったせいか、血の匂いがする。
そのため、血の匂いを嫌うこの人には臭いのだろう。
男はリアを血の散っていない場所へ降ろした。
ヒュウッーと冷たい風が二人の間を通り、リアは僅かに身震いした。
しかし、捕らえられてワンピース一枚という、この冬の始めには寒すぎるような服装でも、リアが絶えられたのは、彼女が普通の''人''ではないことを示している。
「帰るわよ」
「はい」
ワンピースをヒラっと翻し、リアはスタスタと月夜の街へと踵を返した。
それに続くように男もコツコツと足を鳴らしその場を去る。
錆びつくような鉄の匂いから早く離れるように、一歩一歩と・・・・・。
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