薫子様、一大事でございます!
ギィとひと際大きな音を立てたものの、立派にその役目を果たしていた。
古そうに見えて、元々良い品物だったのかもしれない。
「そうだけどねぇ……」
余計なところにお金を使っている場合ではないのだ。
逃げてきた身。
世間知らずだと滝山からは言われるけれど、無駄遣いができないことくらいは、この私にだって分かっていた。
だから、この事務所内にあるものは、ほとんどのものがリサイクルショップで見つけたものだった。
応接セットに事務用のデスク2台、小さな食器棚にコートハンガー、パソコンやプリンタだって、廃棄処分寸前のものを見つけてきたのだ。
「リサイクルものだって、磨けば綺麗になりますよ」