薫子様、一大事でございます!

沙織さんがどうしてここに――?


「勝手に人の部屋に入るなと、何度言ったら分かるんだ」


DCHの口調が激しくなる。


「ごめんなさいねぇ。そんなことより、お父様から伝言を預かっているのよ」

「父さんから? で、何だって?」

「今ここで言ってもいいの?」


沙織さんが私を顎で指す。

DCHは父親という言葉の登場に、少し焦り気味だった。


「薫子さん、この話はまた今度にしましょう。珠美! 薫子さんをお部屋までお連れするように」


呼ばれて現れた珠美さんは、私に「どうぞ」と促すと、部屋の外へと連れ出した。


そして私は、そのまま元いた部屋へと連れ戻されてしまったのだった。

< 462 / 531 >

この作品をシェア

pagetop