薫子様、一大事でございます!

確かに、そして着実に



「薫子さん、ただいま。今日は一日何をしていたんだい?」


能天気な挨拶で入ってきたDCHを一瞥だけして、すぐに窓の外へと視線を向けた。


「そんなに拗ねないでよ。寂しかった分、今夜はゆっくり二人で過ごせるから」


この人は、自分が何を言っているのか分かっていないのかしら。

どうして私がDCHがいなくて寂しいというのか。


私が拗ねる理由は、そこにはない。

早くここから出てたいという以外に何もないのに。


あれから1週間、ここから出してくれると言っていた沙織さんからの音沙汰はなくて。


どうして沙織さんに、北見さんへの連絡を託さなかったんだろうと後悔ばかり。


「薫子さんってば」


DCHが私の前へ回り込む。

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