薫子様、一大事でございます!
顔を見たくもなくて、プイとそむけた。
「僕と北見涼夜のことを聞きたくないの?」
もうとっくに知ってる。
「僕に着いてくれば、何でも話して聞かせてあげるよ?」
ほら、と私の手を取った。
全身に鳥肌が立つ。
そして、ドアの外に立つ珠美さんを呼び寄せると、私に着替えを命じたのだった。
「薫子さんに似合うドレスを用意してあるから。今夜はそれを着て一緒に食事をしよう」
「……食欲はありませんから」
「拒否できると思ってるのかな?」
私の顎に手を当てて、無理に顔をDCHへ向けさせる。