薫子様、一大事でございます!

――えっ!?


膝丈にまで短くなったドレス。


「ほら、こうすれば乗れるだろ」


確かに、これでバイクの後ろにまたがることは出来そうだけれど……。


「……無茶すぎます」

「ゴチャゴチャ文句を言っているときか。いいから乗れ」


私の腰に手を添えて乗せようとするから。


「だ、大丈夫です。自分でできます」


手を借りつつ、後ろにまたがる。

それを確かめると、北見さんもヘルメットを被った。


ブルンと掛けられたエンジン。

それほど昔ではないはずなのに、懐かしい振動が胸を熱くする。

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