薫子様、一大事でございます!
芙美さんと滝山、そして私が見つめる中、北見さんは考えるように長いこと黙り込んだ。
北見さんの口から出て来る言葉を、なぜか3人揃ってジッと待つ。
それは、何だか不思議な光景だった。
全くの赤の他人、夕べ“拾って来た”見ず知らずの人。
怪我をしているとはいえ、今すぐ出て行こうがそこまで気にすることでもないはずなのに。
「それじゃ、そうさせてもらおうかな」
北見さんが満を持して出した結論に、ホッとしたのだった。