弟、時々恋、のち狼

「せっかくミイのことをスきだってイってくれてますのにぃ」


窓際に置いたクッションの上で尻尾をパタリと揺らし、ラッラは甘い声を出す。


「あんなステキなトノガタをがっかりさせてはいけませんわ。ミィだけをミてタイセツにしてくれますのよ?」


ロウが出張で留守にする4日間、うちでラッラを預かることになった。
正直、アタシは今、ロウともラッラとも微妙な関係。快く引き受けた……わけじゃあ当然ない。単に、他に選択肢がナイだけ。

まぁ、不幸中の幸いは、パパが大喜びなこと。ふらっといなくなって迷子になったと思っていたラッラが帰ってきたものだから、目に入れても痛くない勢いでかわいがっている。
……また数日でいなくなるとは、とてもじゃないけど言い出せない。けど……とりあえず、お世話は基本、パパがしてくれている。


「ソマツにしたらバチがアたりますわ」


ラッラはツカサのことをどこでどういう風に聞いたのだろう。なぜかだいぶ気に入っているようだった。
ことあるごとに、ツカサを誉めては、アタシとツカサをくっつけようとする。


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