弟、時々恋、のち狼
「ハヤいおカエりですのねぇ?」
東向きのアタシの部屋は、朝こそ明るく日差しが入るものの、午後になると時間の感覚がつかみにくくなる。
壁にかけたキャラクターものの時計が4時半を指していた。
掃除が終わってすぐに帰ってきたから、確かにいつもよりは少し早めの時間だ。
「ロウって何者なの!?」
勢いで詰め寄った。
結局、今日の授業はロクに頭に入らなかった。
そのくせ、もしばったり会ったら……なんて思うから、休み時間も石のように真面目に席で過ごすしかない。
「ロゥ、ですかぁ?」
まだ寝ぼけているのか、ゆっくりした声が応える。
「ナニモノもナニも、ただのオトウトですよぅ?」
……ダメだ。やっぱり寝ぼけてる。
意味が通じない。
「白羽要っていうのが、あの人の名前?」
質問を変えてみる。