メランコリック
「本部から、昨日内示がきた」


私は相良の顔を見ず、うつむいて言った。
まだ、相良は知らないことを。


「ずっと希望してきた異動、叶うことになった。私、12月から本社の生産管理課に異動するんだ」


「ホントかよ……」


「これで……もう目障りにはならないね」


私は相良に微笑んで見せた。
相良に向かってきちんと笑ったのは、これが初めてかもしれない。

相良は私の左手をぎゅっと握ったまま、しばらく言葉が無かった。
瞳が信じられないというように揺れていた。



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