メランコリック
そんなことはどうでもいい。
俺がしてきたことの話じゃない。

兵頭が今、この意地汚い悪辣な嫌がらせをやめるかどうかが問題なのだ。


「つかさ、藤枝の男気取りでいるけど、知ってるよ?付き合ってるわけじゃないんでしょ。あんた、自分がしてきたことを完全に棚に上げてイイ気になってるよね。あんたのこと藤枝が好きになるわけないじゃん。藤枝が髪切られた件だって、あんたが裏で画策してたんでしょ?」


俺はぐっと押し黙った。さらに俺を傷つけようと兵頭が言葉を選ぶ。


「藤枝ん中じゃあんたは卑怯ないじめの中心人物のまんまだよ。罪滅ぼしのつもりか知らないけど、今更私のことを責めたって、無駄。あの女の評価が変わると思ってるの?あんたは嫌われて、うざがられてんだよ」


「うっせぇな、くそ」


俺にできる反論はその程度で、兵頭は勝ち誇ったように笑顔になって、さっさと帰宅していった。

最寄り駅に帰り着くと22時半を回っていた。
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