メランコリック
『怒り』。

相良に指摘された言葉が巡る。


『怒り』が私の根底にある。

そんなことは相良なんかに言われなくても、とっくに気づいていた。

私が他人とまっとうに関係を築けないのは、両親に捨てられたせいだ。未来に希望を持てないのは、家族の破綻を見たからだ。
そんな陳腐で責任転嫁な想いが私の中に確かにある。
認めたくないけれど、心の芯を蝕んでいる。

親の離婚なんてありふれている。
両親ともに子どもを育てられないなんて、よく聞く事情だ。

そんな風に自分を納得させ、母に理解を示し、父と隔たってきた。

だけど、私の奥の部分は、小学生で止まっている。
親に必要とされなかった事実。
無限の暗闇に投げ出されたまま、前も後ろも見えず、座り込んで泣いている。

自分を守るために、他人と深く関わらなかった。
期待して裏切られ、ひとりになったら、今度こそ立ち直れない。

それなら求めなければいい。

そう想ってきた。
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