メランコリック
私は祖母に電話をかけ、荷物のお礼と次のお休みに遊びに行く旨を伝えた。


「汐里ちゃんが来るなら、れんこんのきんぴらも作らなくっちゃね。あとは、何が食べたい?」


「何も作んなくていいよ。おみやげにおいしいケーキ買って行くから」


「やだよ、それこそ気を使わないでちょうだい」


祖母の声は弾んでいた。後ろで祖父が「俺にも替われ」と言う声が聞こえる。
二人の声を聞くと、自然と頬が緩んだ。
私はひとりぼっちじゃないと思える。

いつもはひとりでもいいと感じる。
長い人生、孤独と退屈を埋める暇つぶしを繰り返すことになると、私は幼い頃から思っていた。

厭世的な思考はきっと生まれ持ったものなのだ。
離れて暮らす父親に似たのかもしれない。

だけど、こんな私を慈しんで育ててくれた祖父母にだけは、感謝と愛情を感じる。
そして、彼らへの愛を感じる時だけ、私は自身が本質的に孤独なのだと知る。
誰とも深く関わらず、息を殺して過ごす日常。

でも、私が選んだのもこの道なのだ。


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