メランコリック
なんで、いちいち私の行動にケチをつけるのだろう。
彼だって目障りな女と同じ空間にいたいはずはないのに。こっちが気を利かせているんだから、放っておいてほしい。

私がそれ以上の問答をやめ、ロッカーにお財布を取りに行こうと踵を返す。
すると、相良が立ち上がった。私の元につかつか歩みより、私のサンドイッチとペットボトルを取り上げた。
いきなりの行動に面食らう私に彼は怒鳴った。


「ここで食えって言ってんだよ!」


そう言って、私の昼食はテーブルにどさりと放られた。転がるペットボトルとひしゃげたサンドイッチ。
私は心底嫌な気持ちになったけれど、それを口に出しても無意味だと思ったので黙った。
そして、彼の向かいの席に座ると、言われるままに封を切りサンドイッチを口に運ぶ。

相良はまだ不機嫌な顔をしつつ、自分の席に戻った。そこにはすでに食べ終えたお弁当のカラ。
彼の昼食はいつも買ったお弁当なのだろうか。一人暮らしだと聞いた覚えもある。男の一人暮らしなら、そんなものかもしれない。

私は相良のことは何も知らないし、これからも知る機会はないだろう。

そんな風に思った傍から、相良が話しかけてきた。

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