メランコリック
俺は苛々と締め作業をして、店を閉める。
兵頭さんにまたメシに誘われたことを思い出した。今日断った分、明日は昼飯に付き合う約束をさせられた。
どうせ、藤枝かバイトに仕事を押し付けて、俺と同じ時間で休憩をとるつもりなんだろう。

非常階段を降り、裏口から出る。ふと、藤枝が路地に消えるのが目の端に見えた。
藤枝は俺より5分ほど早く退勤したはずだ。

まだ、その辺にいるのか?

俺は無視して駅まで歩きかけ、結局引き返した。
一応、あいつも女だ。裏通りで男にでも襲われていたら寝覚めが悪い。
俺は藤枝が消えたと思しき路地に歩み寄った。





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