メランコリック
藤枝の声は低く押し殺していて、その分強い怒りを感じた。
俺は煽るように言葉を続ける。


「夢も希望もないひとりぼっちの虚しい一生がおまえの望みかよ」


「そう、でも私は虚しいとは思っていない。ひとりで独立して生きているだけ。
今現在、あんたが私の静かな世界に入ってくるのだけが、我慢ならない!」


強い口調で言い切った藤枝は息を切らしていた。

俺は笑う。間近く藤枝を見つめて。
やっと、藤枝の内側を垣間見られた。少しだけど。


「じゃあ、俺はこれからもおまえに絡み続けるわ」


「は?」


「俺はおまえの存在も生き方も気に食わない。だから、徹底的におまえに関わり続けてやる。おまえが発狂するくらいに」


藤枝が強い瞳と口調で言った。


「バッカじゃないの?」
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